綿菓子と唐辛子


「ナツくん………!」

「…!」


クラスの入り口から、聞いたことのある声が響いた。

その瞬間に、どきりとする。


…ヒメに、見られたくない。


「ナツくん!お昼休みにお話ししようっていうメール、読んでくれた?」

「佐々木さん……」


佐々木さんは俺が好きらしい。
それはこの間の告白で明らかになった。

それにヒメはヤキモチを妬いて、それで…。



「返信来なかったから、とりあえず来てみたんだけど…」


…気分じゃない。

だから返信しなかった。
佐々木さんに悪いとは思ってても、なんとなく、会いたくなかった。


「ごめん…」


ヒメ、今教室にいるのかな。

こわくて、見渡すことも出来ない。




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