綿菓子と唐辛子


俺、なんか気持ち悪い。

別に、ヒメが嫌だって言うなら仕方ないじゃないか。

付き合えない理由だってあるはずだし。


いい加減、あきらめろよ…。



「…でも…」


でも。でも。でも…。


でも、消えないから辛いんだ。

初めてだから。何もかも。


抱きしめた感覚も、忘れることは出来ない。


…あいつ、小さかった。

俺が思ってたよりももっと、小さかった。



「いてぇ……」


心臓のあたりが、痛い。

痛くて、わぁって叫びたいような。
でもその言葉は呑み込まれてしまって、行き場がなくなってしまう。


こんな気持ちは、初めてだ。




「失礼しまーす」

「…!」




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