綿菓子と唐辛子


布団にくるまって、自分だけの世界にしていたはずなのに。


「ナツくーん。大丈夫?いるんだよね?」

「………佐々木…さん…?」


「杉村先生にさっき会って、わたし保健委員だから、ナツくんのことよろしくって言われたんだけど…」



シャッ…とカーテンを開けられて、手にポカリを持った佐々木さんが視界に入った。

…って、こんなに躊躇なく病人の寝ているところに入ってくるってどうなんだ…。



「大丈夫?はい、ポカリ。食欲なくても、このくらいは摂らなきゃだめだよ」

「………ありがとう………」



受け取ると、佐々木さんは笑った。

頬が、少し赤くなっているのが分かった。


「…っ」


…罪悪感だけだ。今の俺にあるのは。


「ナツくん、どうしたの?わたし、ここにいるからゆっくり休んでていいよ」

「………。いいよそんなの。悪いし。授業始まる」

「そんなこと気にしないで!わたしは…ナツくんと…」


綺麗な二重。

今の俺に、向けるなよ。



「ナツくんと、一緒にいたいだけだから」



…やめろよ、本当に。







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