綿菓子と唐辛子


「…ごめん、もう、帰って。俺は大丈夫だから…」


少し、冷たかったかな。

でも、期待を持たせても仕方ないし。

…これくらいが、ちょうど良い。


カーテンを勢いよく占めて、保健室を去って行く足音が響いた。



「…はぁ………」



恋愛、って。

高度なところにあるって聞いたことはあったけど、こんなに難しいことだったなんて思ってもなかった。



ヒメの持っている秘密は何なのだろう。


『なにも聞かないで…。お願い…』


「…」


…納得出来ねぇよ…。

ずるい。こんな気持ちだけ、残しやがって…。


「ヒメ…」


ヒメは俺のことが好き。

それは明らかなのに、それでも一緒にいられない理由って、いったいなんなのだろう。





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