プラチナブルーの夏
「でもな、ミズキ。与えられたかったら、

自分から先に与えろよ。

その手が欲しいと思ったら、自分から先に

手を伸ばしてみろよ。

…お母さんとの関係だって、閉ざし合ったまま

じゃだめだろ?」
 
な?そうだろ?
 
ポンポン、とトモロウがあたしの背中を

あやすように優しく叩く。

「俺も人の事言えねーけどな」
 
笑うお腹の振動が、あたしの体に直に伝わる。

トモロウ。……トモロウ。
 

私が初めて大好きになった、大切な男の人。

「……トモロウ……触ってほしい」

「……?」
 
あなたと離れてしまっても、今の気持ちを忘れないように。
 
あなたがそばにいなくても、自信を持って生きていくために。
 
あたしは上半身を起こし、トモロウの手を胸へと導いた。

「あたしの一番嫌いなところ…

トモロウが触ってくれれば……」
 
好きに、なれるかも知れない。
 
それでもやっぱり、なれないかも知れない。
 
でも。
 
何かが変わるかも、知れないから。
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