プラチナブルーの夏
はっきり言ってユウスケさんは、機嫌が悪くなると相当イカツイ、怖い顔になる。
 
ダラリとニヤけた顔で話しかけたヤツも、彼の表情を見たとたん

口をキュッと結び、一瞬で怯んだ。

「いや…えっと…」
 
しどろもどろになっているそいつを無視してユウスケさんは、

「コイツら誰だよ、ミズキ」
 
あたしの名前を呼び捨てて、問いかけた。

「…同じ学校の人達」
 
答えたとたん、ユウスケさんはあたしの二の腕をグッ!と掴み、自分の方へ引き寄せた。

熱い手のひら。
 
そして、驚いて立ち尽くしている集団に向かってこう言い放った。

「コイツ俺の女だから。お前ら気安く声かけんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞオラ!!」
 
その言葉にビクつき、目を丸くした集団は、あたしとユウスケさんの前を通り過ぎ、
逃げるように店から出て行った。
 
しかし、目を丸くしていたのは集団やあたしだけではなかった。
 
階段の一番上に、いつの間にか立っていたリツコ。
 
ほんの少し震えながら、まだあたしの腕を掴んだままのユウスケさんとあたしを見下ろし、

暫くの間その場に、じっと佇んでいた。
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