プラチナブルーの夏
13.
その日の帰り道はなぜだろう?
三人揃って無口なまま、なんとなく気まずいムードに包まれていた。
今にも雨が空から落ちてきそうな薄曇りの帰り道。
ぬるい風に、ユウスケさんと並んで少し前を歩くリツコの、儚げな細い髪の束が揺れている。
「…ゴメンなぁ、ミズキ」
何気なく見つめていた後ろ姿が、突然振り向いた。
「え?何が?」
慌てて聞き返す。
ユウスケさんは振り向きもせず、黙って前を歩いている。
「さっきのあのバカ集団。ダンゴになってたもんだから、私、あんたとユウスケの姿もよく見えへんかってん。
また、ふざけたこと言うて絡んで来たんやな…ケツの一つでも、蹴り上げたれば良かったわ!」
リツコはそう言っていつものチェシャ・スマイルを浮かべ、目の前の空中をキックして見せた。
ニシシッ。
あたしはそんなリツコを見て、ようやく胸を撫で下ろし大声で笑った。
「全くしょうもないヤツらやわ!ミズキも嘘とは言うても、ユウスケの彼女なんかにされてしまうし。可哀想過ぎるわ」
「なんじゃそれ。どーいう意味じゃい」
後ろ姿のまま、今度はユウスケさんがそう答えて笑った。
「だってイヤやろー?ミズキ。嘘でもコイツの彼女なんて、なりたくないやんなぁ?」
『嘘とは言うても』。『嘘でも』。
リツコはやっぱりユウスケさんのあの言葉が引っかかっているのだと、私は感じた。
だから、精一杯笑いながらこう答えた。
「本当の彼女がそんな事言ったらダメだよ~!ユウスケさんの方こそ、嘘までついて
アイツらからあたし、かばってくれたんだし。申し訳ないよ」
「…そうだよなぁ?」
風向きが変わった。ユウスケさんの声が、さっきよりも少し遠くに聞こえる。
「調子乗んなユウスケ~!!」
いとしい相手が、いとしい相手にしか出せない声で、リツコが素早く突っ込みを入れた。
三人揃って無口なまま、なんとなく気まずいムードに包まれていた。
今にも雨が空から落ちてきそうな薄曇りの帰り道。
ぬるい風に、ユウスケさんと並んで少し前を歩くリツコの、儚げな細い髪の束が揺れている。
「…ゴメンなぁ、ミズキ」
何気なく見つめていた後ろ姿が、突然振り向いた。
「え?何が?」
慌てて聞き返す。
ユウスケさんは振り向きもせず、黙って前を歩いている。
「さっきのあのバカ集団。ダンゴになってたもんだから、私、あんたとユウスケの姿もよく見えへんかってん。
また、ふざけたこと言うて絡んで来たんやな…ケツの一つでも、蹴り上げたれば良かったわ!」
リツコはそう言っていつものチェシャ・スマイルを浮かべ、目の前の空中をキックして見せた。
ニシシッ。
あたしはそんなリツコを見て、ようやく胸を撫で下ろし大声で笑った。
「全くしょうもないヤツらやわ!ミズキも嘘とは言うても、ユウスケの彼女なんかにされてしまうし。可哀想過ぎるわ」
「なんじゃそれ。どーいう意味じゃい」
後ろ姿のまま、今度はユウスケさんがそう答えて笑った。
「だってイヤやろー?ミズキ。嘘でもコイツの彼女なんて、なりたくないやんなぁ?」
『嘘とは言うても』。『嘘でも』。
リツコはやっぱりユウスケさんのあの言葉が引っかかっているのだと、私は感じた。
だから、精一杯笑いながらこう答えた。
「本当の彼女がそんな事言ったらダメだよ~!ユウスケさんの方こそ、嘘までついて
アイツらからあたし、かばってくれたんだし。申し訳ないよ」
「…そうだよなぁ?」
風向きが変わった。ユウスケさんの声が、さっきよりも少し遠くに聞こえる。
「調子乗んなユウスケ~!!」
いとしい相手が、いとしい相手にしか出せない声で、リツコが素早く突っ込みを入れた。