プラチナブルーの夏
いとしい相手にしか、出せない声で。

 
あたしはその時のリツコが、可愛くてたまらなかった。
 
自分では感じた事のない、『恋心』という未知の感情。

それは一体どういうものなのか、ただそばにいるだけで教えてくれるリツコ。

あたしもいつかはこんなふうに、恋をする事ができるのだろうか?

「ミズキ~!早よおいでや~!」
 
いつの間にかリツコは、再びユウスケさんと並んで少し前を歩いていた。

「今行く~!」
 
夕暮れにのびた紫色の二人の影を追った。
 

三人並んで笑いながら歩いた、これが最後の記憶になった。
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