プラチナブルーの夏
(…早く…一刻も早く、大人になりたい…!)
 
母親が部屋から出て行った後、あたしは声を立てずに肩と息だけで泣いた。

(リツコ…リツコに会いたい……でも……)
 
今日のリツコは久しぶりにあたし抜きで、ユウスケさんとデートをしているはずだ。

邪魔は出来ない。

あたしは携帯に伸ばしかけた手を、かろうじて止めた。

そして、床に転がったままの瓶を拾い上げ、涙をふいた。
 
それから、まだ塗っていない爪を一枚ずつキラキラ光るピンク色に、ゆっくりゆっくり染め上げていった。
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