プラチナブルーの夏
一台のチャリが右脇からあたしを目がけて、

猛スピードで突っ込んで来た。

(危ない!!)
 
よける暇もなく、あたしはガシャン!とチャリごと倒れた。

横を見ると、突っ込んで来たチャリは、カラカラとタイヤが空回りしていた。

その傍で、男の人が仰向けに倒れている。
 
音の割れた『とおりゃんせ』が流れ、信号は青になったけれど、

微動だにせず倒れている男性にあたしは近寄り、声をかけた。

「あの…大丈夫ですか?」
 
返事は、ない。

「…すいません、あの…、あの?…」
 
恐る恐る肩に触れ、身体を揺さぶった。

「…がっ」

え?
 
突然、声を発したので、驚いて飛びのいた。すると続けてがぁがぁと、大きなイビキが聞こえた。
 

…はぁ?この人、寝てんの!?
 
驚きを通り越して、なんだか腹が立ったあたしは、

さっきまでよりも乱暴に彼の身体を揺さぶった。
< 46 / 118 >

この作品をシェア

pagetop