プラチナブルーの夏
それにしても、顔の痛みは熱も孕み、どんどん激しくなってくる。
 
悪い夢の中にいるような、何もかもが不自然な感覚。
 
顔の痛みと同じように両胸もズキズキと、痛い。


(なんでこんな目に遭うんだろう?)
 

ずっと思ってた。子供の頃から、ずっと。

いっそ削ぎ落としてしまいたいくらい、この脂肪の塊があたしは憎い。憎い。
 
ぽたん、とシートに涙が落ちた。痛い。

涙が伝い落ちただけでも痛いなんて…

あたしは突然怖ろしくなって、慌ててバッグの中のポーチから鏡を取り出した。

そして一瞬で『ボクサーみたい』だと言ったトモロウの言葉の意味がわかった。

顔の左半分が腫れすぎて左目がほとんど肉で塞がっている。顔色は紫。

引っ掻かれたような傷は細かくたくさんあって、血が滲んでいる。
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