プラチナブルーの夏
チャリの後ろに乗せて連れて行ってもらった病院は、本当に思っていたよりも遠くて、とても小ぢんまりとしていた。
 
ひっそりとした、薄暗い廊下に一つだけ置いてある小さなソファーに腰をかけていたら、すぐに名前を呼ばれた。
 
昨夜よりももっと腫れているであろう左目やその近辺を丁寧に診察し手当てした後、

クチャクチャに皺だらけのその医師は、でっぷりと太ったオバさんの看護師を呼んだ。
 
彼女に促されあたしはカーテンの奥に入り身体についた傷の手当てをしてもらった。
 
正直、ホッとした。どんなにお爺さんであっても、今のあたしは男性に身体を触られるのが怖かったから。

「どの辺りが一番痛い?」

「この光は見えますか?」
 
そういった、事務的な質問以外は何一つされなかった。

『ワケありの人間の中では、ちょっと有名な病院だよ。

すげぇジーさんの医者だけど腕はいいし、嫌な事は聞かれないはずだから

心配すんなよ』
 
ぎぃぎぃとペダルを踏み漕ぐたびに軋む、オンボロのチャリの後ろにあたしを乗せながら言った

トモロウの言葉通りだった。
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