プラチナブルーの夏
「お疲れー」
 
病院の外で待っていたトモロウが飲み物を渡してくれた。

「…ありがとう…ごめんなさい、色々」
 
あたしは思わず涙が溢れそうになった。

「いや、別に。気にしなくていいよ」
 
それからまたトモロウの住処まで帰る道々、怪我はだいたいどの位で治ると言われたか、

これからバイト先に行ってしばらく休ませてほしいと伝えに行くことなどを話した。

「トモロウは今日は仕事は?」
 
何をしているのかもまだ知らないけれど。

「あー。今日は夜中から朝までだから、昼間はだいたいあそこにいるよ。もしなんか

あったらまた寄ってきな」

「うん…ありがとう」

不思議な人。トモロウ。
 
男の人がこんなにも憎くて怖くて嫌いなあたしなのに、

この人だけは信じられるような気がする。
 

ワンコみたいなクセっ毛と、切れ長だけれど優しいラインの茶色い目。
 

あたしはもしかしたら、また誰かの事が、信じられるのかも知れない……?
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