アドラーキャット
勉強を見始めて分かったのだが、荻野目くんと祐介くんは頭がいい。
逆になんで私がいっている大学を目指すのか不思議なくらいだ。
やはり地元という地はとても魅力的なのだろうか。
「荻野目くん頭いいんだからもっと上目指してもいいんじゃない?」
「実家から通える方がいい。」
「一人暮らしとか、楽しいよ。」
「引っ越しめんどくさい。」
模試の判定を見る度に同じ会話を繰り返している気がする。
彼はガンとして意見を変えないし、私も荻野目くんのこのめんどくさがりは治しようがないな、と諦めている。
椅子に腰掛けたところで、荻野目くんがチラリと私の本棚を見る。
「みずき、本増えた?」
「あ、あれ彼氏の。」
沈黙。
荻野目くんが目を丸くしているのを見て私は得意げになった。
どうせこの失礼な後輩は私に彼氏なんて出来るはずがないと思っていたのだろう。
残念だが顔は良くなくてもリア充にはなれるんだよ‼と私は心の中で高笑いをする。
「……彼氏、いたんだ。」
呆然とした荻野目くんの様子に私はふふんと鼻をならす。
「そう‼大学生にして遂に私もモテ期‼」
「……帰る。」
「へ!?」
突然荻野目くんは立ち上がると止める間もなく帰ってしまった。
私はただ口を開けて呆然としているしかなかった。