アドラーキャット
そして今何故か。
荻野目くんが部屋にいる。
何故か私の部屋にあった雑誌を読みながらゴロゴロしている。
「あのー、荻野目くん。」
「なに?」
「……今日何限から?」
「三。」
声はかけられる。
けど、一番聞きたいことが聞けない。
ええい、もう、こうなったらヤケクソだ‼
「えーと、なんで荻野目くんがここにいるのかな!?」
私が少し声を張り上げると荻野目くんは雑誌から顔を上げた。
「……だめ?」
そう言ってクリクリとした瞳をこっちに向けてくるもんだから、こっちが罪悪感に苛まれる。
くっそ荻野目くんあざとい。
ちゃっかり自分の顔の良さを利用して‼
「いや、悪くはないんだけど、何しに来たの?」
しどろもどろにそう言えば、荻野目くんは不思議そうに首を傾げる。
さらっと、荻野目くんの柔らかそうな髪が揺れて、クリクリとした猫目が一層際立つ。
「だって、ペットだし。」
「わけわかめ‼」
人間、自棄になるとよくわからないことを口走ってしまうようだから、気をつけようね。