アドラーキャット


無言でぐりぐりと頭を、押し付けてくる荻野目くん。


顔のすぐ横に荻野目くんの頭がある状況で、ふんわりと荻野目くんの甘い匂いがする。

というか本当になにしてんの彼は。
すり寄ってくるとことか本当に猫みたいだ。

マーキング?もしかして、マーキング?
すり寄るのはいいけどトイレしないでよ、いやそれ犬か。


「荻野目くん、邪魔だからどいてー。」

そう言ってぐっと力をいれれば少し荻野目くんが私の身体から離れる。

少し不貞腐れた表情をしているのが、雰囲気で分かる。


ボソリと、小さな声の呟きが聞こえた。


「ペットだから、これくらい許容範囲。」

そう言ってまた私の肩口にボスンと顔を埋めて、ぎゅぅっと抱きしめてきた。

「いやいやいや‼人間と動物の違いがあるから‼」

「でも俺扱いはペット……。」

首元に荻野目くんの息がかかりくすぐったい。

「とりあえず、レポートの邪魔しないで‼」

そう言えばむぅっと不機嫌そうながらも離してくれた。

なんなんだなんで今日の荻野目くんはこんなに盛っているんだ!?


それからもじっとこちらの様子を見つめてくる猫みたいな様子の荻野目くんが気になってレポートに集中出来なかった。

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