アドラーキャット


家に帰り、コンビニで買ったチョコ味のロールケーキをつまみながら考える。

前々から荻野目くんのことはかわいい後輩だと思っていたし好きか嫌いかで言えば好きだ。
ただ、それだけなんだけど。

ピンポン、とチャイムがなる。


「みずきが言ってた映画、借りてきた。」

DVDのレンタルを頼んでいたのを忘れていた。
というか、荻野目くんは本屋に行った後レンタルビデオショップに行ってくれたのか。
なんか、すごく悪いことをしたな。

「ごめん、ありがと。」

「みずき、ケーキでも食べてるの?」

「え、なんでわかったの。ロールケーキ食べてるけど。」

ふっと、手を伸ばして私の口元をなぞる。
その突然の仕草に、不覚にもドキリとした。

「口元に生クリームついてる。」

「まじか!!」

なんてこったこんなところでドジっ子要素を出さなくてもいいのに。
というか、何故私が荻野目くんに、ニャンコくんに心臓をバクバクさせなければいけないのか。

なんで、こんなに、嫌でも気になってしまうのか。

< 40 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop