アドラーキャット



「だからホントにいいってば。私だって一応経験あるんだから。」

「……傑先輩と?」

「んー、まぁ、その人しかいないから経験豊富ってわけじゃな」


最後まで言えなかった。

荻野目くんに押し倒され、口を塞がれた。
しかもこのニャンコくん、ご丁寧に本当にベロチューかましてきた。
舌が絡まり合って、息が苦しくなってくる。
荻野目くんが離してくれたときには、すっかり息が荒くなっていた。

一体どれが荻野目くんのスイッチだったのか。

ガッと、私の頬に手をあてた荻野目くんの顔がまた近づいてきた。
その目は、ギラギラと。

「これからは、俺以外の奴には触れさせないで。」

そう言うと、痛いくらいぎゅっと抱きしめてきた。
広がる荻野目くんのあのふんわりとした甘い匂い。

「特に、傑先輩には絶対ダメ。」


そう呟いた荻野目くん。

あぁ、傑先輩がスイッチだったんですか。
よし、これからは気をつけよう。


「大丈夫だよ、私、荻野目くん以外嫌だし。」

そう言ってすりすりと背中を撫でてあげれば逆なででいた毛を下ろすように荻野目くんも落ち着いてきたようだ。


スリスリと頭を私の肩に押し付けてくるあたり、猫みたいで可愛い。





その後、私の首元にキスをして私を動揺させた後、ドヤ顔した荻野目くん。


明日あたり荻野目くんの鞄にコーラの蓋開けたまんま放り込んでやろうかな。




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