アドラーキャット
「ねぇ荻野目くんはやっぱりアドラーよりもニャンコって感じだよね‼ほらそこで睨むとことか‼完全に人に懐かないニャンコじゃん‼」
「人にっていうか瑞希先輩限定な気がするんですけど。」
「祐介くんはちょっと黙ってて‼」
ねぇねぇニャーってしてみてよーっとねだれば逃げられた。
祐介くんの背中に隠れてこちらを覗く姿なんて本当にネコが威嚇してるみたいだ。
「みずき、うざい。」
「あ!名前呼んだね‼初めてだよね‼全然嬉しくない言葉が後についてきたけど‼」
私がニヤニヤしていると荻野目くんはさらにキーッと威嚇する顔をしてきた。
「みずき、うざい。」
二回も言われるとさすがに、うん、ハートにヒビが入る。
「よし、じゃあ分かった。ある条件を出すからそれをクリアしてくれたら私はもう荻野目くんに金輪際関わらないって約束しよう‼」
「条件って何!?」
「荻野目くんそこだけ食いつきがいいの傷つくんだけど‼」
まぁ、一年生の荻野目くんをいじるのも楽しかったけど、もうそろそろ可哀想だから構うのはやめてあげよう。
彼は見るからに私みたいなうるさいタイプは苦手そうだし。
「前髪、切って猫背治して。」
数日後、私の教室に荻野目くんが飛び込んできた。
「みずき、助けて、死ぬ。」
「何!?何があったの!?」
「朝から、何回も女子に話しかけられる、怖い。」
「モテてるんだよ良かったじゃん‼」
「全然良くない。」
ニャンコ系男子荻野目くんはもしかしたら女性恐怖症なのかもしれない。