アドラーキャット
高校生活は、中学以上に時間が早く感じた。
わたわたその瞬間をなんとか生きていたら、もう三年も過ぎてたって感じ。
ついこの間部活を引退したと思ったら、すぐに勉強漬けの毎日が来て、なんとかギリギリ第一志望合格。
夢かと思った。
いや、夢だったら本気で困るけど。
そして、もう今日は卒業だ。
本当に、三年間って早い。
18年生きてきたうちの6分の1。
多いのか、少ないのか、よく分からない。
でも、けっこう、良い日々だったと思う。
「みずき、大学入れたんだ。」
「二年間ずっと思ってたんだけど荻野目くんって失礼だよね。」
珍しく荻野目くんの方から私の所に来てくれたと思ったらおめでとうございますの一つもなくいきなり嫌味を言われた。
まぁ、荻野目くんはそーゆー子だよね。
素直におしゃべりできないニャンコくん。
彼、いつになったらデレてくれるんだろう。
私の胸に添えてある花をチラリと一瞥した荻野目くんは、目線を少し下にした。
「荻野目くん、前髪切りなよ。」
「……考えとく。」
「バレー頑張りなよ。」
「……うん。」
「倫理も頑張りなよ。」
「……ぼちぼち。」
「…………ニャーってして。」
「死んでもやだ。」
「なんで‼そこだけ‼即答なの!?」
「みずき頭おかしい。」