アドラーキャット
*
「ゴリラってさー、」
「んー?」
「どうやって意思疎通してるんだろうね。」
「……ウホウホ言ってるじゃん。きっとあれ」
「あー、確かにウホウホ言ってるね……」
「……」
「……私と荻野目くんはさー、人間じゃん」
「ホモサピエンス…」
「そう、ホモサピエンスで人間だけどさ、ウとホの二音だけで会話出来ないんだよね」
「そうだね。」
「ゴリラに出来ることが私たちに出来ないっておかしくない?」
「……ん?」
「ちょっと試しにウホウホしてみようか」
「ん、ん?え、みずきどっからそんな話になったの?」
「ウホ。」
「しかももう始まってる……!」
「ウホホ。」
「え、みずき、本気?」
「ウホキ、あ、ミスった。」
「無理だよ二音で意思疎通とか」
「こう、ハートで伝えるんだよ。レッツウホウホ!」
「……ウホ」
「ウホウホ」
「………ウウホ」
「ウッホー」
「………無理だね」
「やっぱ無理かー」
「みずき先輩と荻野目はさっきから何してんですか。」
この二人けっこう似てるよなぁ、と祐介は心の中で思ったり思わなかったり。