アドラーキャット
*
「みずき先輩何食べてるんですかー?」
「んー、チョコ。荻野目くんから貰ったの」
「……へー」
「親戚から貰ったらしいんだけどいらないからってくれたー」
「良かったですねー」
「みずき先輩、そのカーディガン綺麗な色ですね。誰かに選んでもらったんですか?」
「……何で私が選んだって考えないのさ。まぁ、選んだのは私じゃないけど。」
「ですよね。みずき先輩がこんな品の良いもの選ぶはずないですし。センス良すぎます。」
「ん?ん?私は今喧嘩売られてるのかな?」
「で、そのカーディガンはどうしたんですか?」
「荻野目くんがくれた。お母さんが買った福袋に入ってたらしくて。お母さんが着るにはちょっと若すぎるって。」
「……へー」
「……先輩、それ」
「あ、祐介くんも食べる?荻野目くんから貰ったの」
「いや、俺はいいです」
「そっかー。ケーキ嫌い?」
「好きですよ。でも今お腹いっぱいなんで。」
「荻野目さー、」
「ん?何?」
「付き合ったのってみずき先輩が初めてだよな?」
「そうだけど」
「……荻野目って貢いでるよなー」
「……」
「おい逃げんな」
老舗の高級チョコレート、エルフローレンの新作カーディガン、最近開店したばかりの人気ケーキ屋のケーキ
一応大事には、してる、らしい
「たまには愛情表現の仕方変えてみろよ」
「ゆうすけ、うるさい」