アドラーキャット


なんともまぁいいタイミングで佳乃子ちゃんは話をしてくる。
ただでさえ荻野目くんのことは言い出しづらいことなのに言うタイミングがドンドンなくなっていく。

よし、言うぞ、と私は決意し佳乃子ちゃんに顔を向ける。



だが、やはり先手を取ったのは佳乃子ちゃんだった。





「トリュフとブラウニーだったらどっちが好きですかねぇ、荻野目くん。」




まさに天使の微笑みでそう言った佳乃子ちゃん。



私の思考回路は一瞬止まる。

トリュフもブラウニーも、佳乃子ちゃんは作れるんだ、と。

数日前の、紫キャベツ入りのクッキーを呆れた目で見ていた荻野目くんの顔が浮かぶ。



どうしようもなく、自分が荻野目くんには不釣合いな気がして、私は曖昧に笑うしか出来なかった。
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