アドラーキャット


結局バレンタインに荻野目くんにチョコをあげると嬉しそうに言う佳乃子ちゃんの笑顔を壊すことは出来なかった。
というか、非常に言いづらくて言えなかった。

いやでもまさか、あの和歌サークルのマドンナ佳乃子ちゃんがニャンコ男子荻野目くんを、ねぇ……


「世の中アンビリーバボーだね。」

「瑞希先輩酔ってます?」

「やだなぁ祐介くん朝から酒飲むわけないじゃん。」


そう言いながら私は学食の親子丼を一口食べる。
親子丼ってホントに美味しい。
丼ものの中では一番好きだ。

「で、どうすればいいと思う?」

「とりあえず佳乃子さんには本当のことを言った方がいいと思います。」

「ですよねー。」

「まぁ佳乃子さん綺麗な人だし言いづらいっていうのは分かりますけどね。」

そう言って祐介くんはオムライスを食べ始める。

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