アドラーキャット
祐介くんとの会話が収集がつかなくなる前に一息ついて話を戻す。
「クッキーに紫キャベツ入れる彼女って、ありだと思う?」
「ありえませんね。」
「ありえないか。」
「てか料理出来る女の子が好きですしね俺。」
「トリュフチョコとか、ブラウニーとか作れる女の子は好き?」
「えぇ、はい、まぁ。てか先輩これなんの話ですか?」
「男の理想の彼女について調べてるの。」
「……先輩荻野目に何か言われたんですか?」
「……ありえないって、呆れた声で。」
察しのいい祐介くんは何かに気づいたようだ。
私は数日前の紫キャベツ入りクッキーを呆れた目で見ていた荻野目くんを思い出す。
「……もしかして、先輩、料理出来ません?」
「………まぁ、まぁ。」
「……紫キャベツ入れたのって、もしかして、」
私と祐介くんの間に沈黙が落ちる。
二人の間にはふわふわとオムライスと親子丼の湯気が漂うだけだ。
「先輩。」
「はい。」
「料理、教えますね。」
「よろしくお願いします。」
とりあえず私の破壊的な料理センスをどうにかしないことには佳乃子ちゃんの前で彼女ヅラ出来ないと思った。