out of control ***ハァトがゆうこときかないの。【執筆中】
沙織ちゃんはもう、うつむいて真っ赤になってしまった。

私やらカオル君のことはいーから、テツ君、彼女の気持ちに早く気づけよ。

いや…もうわかってるのかな。どうだか。なんだろ。とにかく、今は。

「どうしてテツ君もマキちゃんもおんなじこと言うのよ。

…仮に私がカオル君を好きだとして、それが何か都合悪いの?」

そのことをはっきりさせたかった。釈然と、しないもん。

「例えば、じゃあ…ユーイチ君が相手だったら?それなら大丈夫なわけ?」

さっき横たわった板敷きの床の冷たさを思い出した。

「ユーイチなら、構わないよ。全然。マキも、そう言うだろうな」

「…カオル君のこと、ここのみんなは嫌いなわけ?」

「そうじゃない。あいつはいいヤツだよ」

「じゃ、なんで?」

「………っ!!」

ずっとうつむいてた沙織ちゃんが、突然鼻をすすった。

声を出さずに、泣いていた。

「沙織ちゃん…」

「ごめん。ごめんな、ごめん」

テツ君がそう繰り返しながら、沙織ちゃんの肩を抱き寄せて、

ゆっくり立ち上がらせた。

「わりぃ、マキちゃん。ちょっと沙織、部屋に送って来るから待ってて」

私は頷いた。そして

「ごめんね、沙織ちゃん」

部屋から出て行く背中に、声をかけた。

なぜ彼女が泣き出したのかも、わからないまま。





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