out of control ***ハァトがゆうこときかないの。【執筆中】
『誓子さんや祐市さん達には
ほんとにお世話になっています』
沙織ちゃんはノートにそう書いてみせた。
「誓子さんって、セイちゃんの事?」
頷く沙織ちゃん。
三人で布団の上で暫くお喋りをした。
セイちゃんは美術の専門学校に通っている19歳。
沙織ちゃんは16歳。ここに来た当初は15歳だったらしい。
『冬の朝、寒くて行くところもなくて
駅前にしゃがんでいたら新聞配達のお兄さんが
声をかけてくれて。あったかい紅茶を買ってくれました』
それがあの、祐市君。
私がここに来た経緯を聞くと、沙織ちゃんは
楽しげに、けれども声を出さずに笑っていた。
代わりにセイちゃんは大きな声で笑いっぱなしだった。
「夜中なんだから静かにしなきゃ!」
と私が慌てて息だけの声でそっと言ったと同時に。
『バタン!!』
セイちゃんと沙織ちゃんの部屋のドアが
無造作に開かれた。