SAMURAI PLUM

固定翼を搭載した飛行車両の流通。貨幣・紙幣の電子化。新動力源E2(エルマイム・エネルギー)の開発。

高度な文明開拓は、人間に一つの産物を与えた。

それが“Android"…───。

Androidとは、土星のミュート鉱山製合金の骨を生体細胞で覆い、AI(人工知能)・E2(エルマイム・エネルギー)を搭載した人工生命体。

外郭は人間を模し、年齢・性別・容姿・性格は要望に添って製造される。

開発用途は当初、案内・介護・接客等の業務補助が目的とされたが、現在ではAndroidの自我を尊重し、人間との“共存"を最重要事項としている。

街を歩けば人間がいる。Androidがいる。

それが2238年、現代である。


「あ、あの、烏間さん」


【J地区】18番街通り…───。

街灯にもたれ掛かり、紫煙を昇らせる烏間に、黒崎が声を掛ける。

この場所に留まって早三十分。

作戦を練る所か、先程から向かいのビルを眺めているばかりだ。


「対象のAndroidって」

「さあね。俺への指示は、午後4時までに“この場所"にいろって事だけだ。直に次の指示があるさ」

「そ、そうですか」

「それより一つ聞いてもいいかい?どうして“回収屋"になろうと?」


回収屋、通称“SAMURAI"…───。

半世紀程前から、突如現れた“特異体質者(もののふ)"。

特異体質者(もののふ)とは、人智を越えた新人類。火を噴き、水を操り、地を割る。

そんな彼等を管理し、独自の体制を築いた組織がSAMURAIだ。


「そ、それは」

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