SAMURAI PLUM
艶かしい刀身に息を飲み、男は一歩後退する。
あまりに非道な宣告。
柵から降りる烏間。刀をだらしなく握り、紫煙を昇らせる。
「わ、私が、Android…?」
脅える対象、加藤悠希を男が庇おうとした刹那…───。
男の両腕が、宙を舞った。
「聞こえなかったのか…?」
「ぐあ…ああ…あっ…!」
「きゃああああ…────!」
切断面から血飛沫(※E2)が散り、男は悶え苦しむ。
屋上に描かれる赤い斑点模様。
肩を抱き、震える女。
首元に刃が向く。
「助け、て…、お願い…」
「やめてください!烏間さん!」
「感情を挟むな。いずれ脅威になり得る以上、俺は刀を納めない」
「彼女にだって…、Androidにだって“心"があります!」
その途端、黒崎の背筋を悪感が過ぎる。
何て冷たい目なのだ。
「違うな。こいつらで言う“心"ってのは、何十億通りとある“情報"に過ぎない」
「だから斬るんですか…!私達は解体屋じゃない。“回収屋"なんです…!」
「………。」
「烏間さん、お願いします…!」
沈黙の間、紫煙だけが静かに昇る。
次の瞬間、烏間は刀を女の足を刺し、身動きを封じた。
「…高嶺。すぐに搬送班を用意してくれ」
『あら、珍しい事もあるのね』
「…頼む」