非通知、着信。
始まりを告げた、着信。


…それは、蝉がウルさく鳴いている、真夏に起こった出来事でした。













「澪(ミオ)、早くーッッ」

「ちょッ…待ってよ」













友達に急かされ、机に入ってる教科書を乱暴に鞄に詰め込む。


中で文庫本の破けるような音がして、ヒヤリと冷や汗が流れた。




無理矢理、奥の奥に追いやられた文庫本を手に取ってみる。


案の定、本の帯がみごとにビリリ。



…お姉ちゃんに借りてたやつなのに。






それを今度はそっと、もう破けないようにしまう。













「みーおーッッ!!」

「今行くー」












シビレをキらせた友達が私を呼ぶ。

急いで自転車の鍵を手に持ち、鞄を乱暴につかむ。







その時、誰かの携帯がプルルと音を立てた。




…けど、それはすぐに途切れた。















「んだよ、イタズラかよ」













携帯を睨みながら呟く、クラスメイトの姿。


この1本の着信が、この制裁(ゲーム)の始まりを告げる合図でした。



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