非通知、着信。
…浜野くんの時と、同じだった。
斜め前の聖菜の席には、誰も座っていない。
「先生ッ!聖菜は…?!」
「あぁ…来てないのか」
急いで窓を開け、身を乗り出す。
制服が雨で濡れるとか、そんなの関係なかった。
窓の下の濡れたアスファルトを見てみると、浜野くんのために備えられた花束が何個かあるだけ。
上を見上げても、屋上なんて見えるわけがなく。
踵を返したように教室を飛び出した。
『私ね、何か…変なの』
聖菜の声が、頭の中でリピートされる。
屋上に向かう階段を駆け上がりながら、聖菜の携帯に電話してみる。