子猫と珈琲
幼なじみトリオ
寒く厳しい冬が過ぎさり、すごしやすい春がやって来た。
暖かい日差しが私を照らす。
私は咲き始めた桜の花を微笑ましく眺めた――――なんてことはない。
ひらひらと落ちて、肩に乗った桜の花びらを鬱陶しげに手で払う。
たくさんの荷物が詰まった大きなバッグを引きずるようにして歩きながら、くあっと欠伸を零した。
ようやくたどり着いた学生寮。
今日からここで、暮らすのだ。
ぼけーっと学生寮の外見を観察する。
なかなかキレイ……いや、かなりキレイだ。
白い上品な壁に、所々チョコレート色のレンガ仕立てになっていて、なかなかお洒落。
さすが、名門校の学生寮といったところかね。
私、兎道ひなた(とどうひなた)は関心しつつ、寮の門をくぐった。