そしてキスからはじまった
「ピンポーン」来客を告げる合図

来客はいつかの香水臭い女

「香水つけてきてないから…ねえ」

猫なで声で甘えてくる

とにかく早く帰って欲しかった

「今から用事があるからかえって」

「え〜、折角来たのに」

口を尖らせてむくれていたけど

今度は目を閉じてキスをねだってきた。

触れるだけのキスをしたら物足りないらしく

「もっと」と言ってきた。

折角ジュリアとキスしたのにと思ったが兎に角早く消えてほしかった

やっと女を帰して部屋に戻った

ジュリアはいなかった

いつもは閉めている廊下の窓が空いている…

その下は俺がさっきまで居た場所…

女とのキスを見たんだろう。

また彼女だと思われた?

だから黙って帰ったんだろう。

これは運命の偶然ではなくばかみたいに女を抱く俺への罰…
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