そしてキスからはじまった
僕はしばらく紫音を見つめた。

「ジュリアのことは・・」諦めるの?と聞こうと思った。ううんそんなことないよねと思い直し言葉を切った。

「うん?」紫音が顔をあげた

「ジュリアがもし自由になったらどうするの?」

紫音は照れたように少し顔を赤くした。そんな表情もするんだね。まるで純情少年じゃないか
「・・好きだと伝えようと思う。ジュリアは俺のことを軽蔑してるかもしれないけど・・
拒絶されてもしょうがないけど・・なんでかなあ・・・他の女じゃダメなんだよ・・
ほかの女といてもジュリアの事を考えてしまう。
どうしてなんだろう?ジュリアじゃないとダメなんだ・・それが分かるのに時間がかかっちまった。
気持ちを伝える・・このままだと後悔して前に進めない・・」

紫音は静かにきっぱりと言った。

彼はもう自暴自棄になって来る者拒まずという生活には戻らないだろう・・

それだけで僕は嬉しい。

僕がジュリアも紫音の事を好きだよというのは簡単だけど僕が言ってはいけない気がする。

僕は彼らのために何か手助けをする・・

彼らが幸せになってくれればいい・・

できれば二人で・・

そう思いながら・・

< 121 / 274 >

この作品をシェア

pagetop