そしてキスからはじまった
おばさんの方を弱々しい笑顔を向けたお母さんはおばさんの後ろにいた私に気がついた。
「…ジュリア?…どうして?」
私はベッドの横に跪いてお母さんの手をとった
「ボスがフランスに帰ってママの看病をするようにって」

「契約があるでしょ、延ばしてもらったの?」
「ううん、まだ残っているけど終了してくれた。
フランスに帰る手配もしてくれたし、ママの為にってお金もくれた…
だからママ、心配しないで…
病気を治して…」
おばさんが静かに「ジュリアちゃん…実はリリィはかなり悪くて手術を受けるようにお医者に言われてるの」
「ローズ」お母さんは慌てておばさんの名前をいう
おばさんは無視して言葉をつなぐ
「でも嫌だって聞かないの…」
「やめて」
「お金はどうにかするからって言ってもダメなの…
ジュリアちゃんから受けるように言って」
「ローズ!止めて」
私は興奮したお母さんにゆっくり抱きついた。
「ママ…お願い…」
「…ジュリア…私はもう…」
うつむくお母さん

「お願い…ママ…私を一人にしないで…お願いだから」
< 143 / 274 >

この作品をシェア

pagetop