そしてキスからはじまった
紫音は1月からの一年間リヨンに留学すると言った。
新学期までの二週間でアパートをユースホステルに泊まりながら決めるそうだ。

手をつなぎながら家まで帰った。桜の木の下で会ったあの日のように…
私はドキドキしながら自分が入れた紅茶を少し飲んだ。

一年間はリヨンにいる。また会ってくれるだろうか?
1月から新学期、勉強だって大変になる…
それに…きっと紫音の周りには私なんかより綺麗で輝いている女の子達がいる

紫音に触れたい。抱きしめて欲しい。
私は帰ろうとする紫音の手を取った。
どうなるかは分かっている…
離れたくないのは私だけかもしれない
それでもいいと思った。

紫音はびっくりして私の取った手を見た。
「ジュリア?」
私は恥ずかしくて彼の顔を見れずうつ向いた。
紫音は私の顎を持って上を向かせた。そして激しくキスをした。
「ごめん。優しく出来ない」
そう言いながら私の服を脱がしていく…
キスマークがない身体…
紫音を拒むこともない。うれしい…

紫音の手が指が唇が舌が私の全てに快楽を与える。
愛しい人だからだろうか?
痛く不快だったこの行為に喜びを感じた。

初めての幸せに私は涙を流した。
私たちは何度も愛し合った。




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