そしてキスからはじまった
そして私は部屋の中を見回した。
もう何一つ私の物は無いはず…
彼女と共に住むかもしれないこの部屋に私の物を残して置いてはいけないんだ
紫音が買ってくれた赤いミルクパンすらも…

私はタンスの奥にしまった袋を取った…
紫音の誕生日のプレゼントに買ったマラヤガーネットのペンダント
あげることが出来なかったペンダントを取り出して首にかけた。
…綺麗な色…今日から私の物…私のお守り…

タンスを閉めようとして気が付いたもう一つの小さな袋…
いつの間に…今まで気がつかなかった…
同じお店の?
あの大きさからして指輪かな?彼女にあげるんだろうなぁ
私が買った物の近くに置いてあった…
彼はサインを出してて気がつかなかったのは鈍感な私…

私は
『宝物ができました。
迷惑かけてごめんなさい。
幸せになってください。
さようなら ジュリア
PS、鍵は新聞受けに入れました』
と書き置きをした。私の正直な気持ち
私は書き置きの横に紫音に買って貰った携帯を置いた。
ストラップはどうしようかと思ったけど付けたままにした。
紫音とお揃いの物を持って行くなんて未練がましい子と彼女には思われたく無い
ちょっとしたプライド?
バカみたいだけど…

私は鍵を閉めて新聞受けに鍵を入れた。
鍵の落ちた音を確認してもうここに来ることは無い
紫音と会うこともないだろうと思うと涙がこぼれた。
ギュッとお守りのペンダントを握りしめて歩き出した。






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