そしてキスからはじまった

私はルイにリリィさんの事を報告してからも気になって病院に来た。
報告してから１ヶ月ぐらいたっていた。
病室にはリリィさんに似た女の子…
あの子？…ルイが言っていた子は
白いワンピースが良く似合う綺麗な子…

こんな子ってきっと何しても純情そうに見えるんだ…羨ましい子

男と女で態度が違って腹黒かったりする
ルイも騙されたのかなあ？
ルイも見かけに騙されるバカな男だとは思いたくないけど
彼女のことを悪く思うのは私だけではなくて
「あの子よ。先生の愛人だって良く病院に来れるわね。日本でダンサーをやってたぐらいの子だから平気なんだよ。」
「純情そうに見えるのにね」
遠巻きにそう言うナース達

愛人でダンサー？何かすごい子…ルイは知ってるのかな？
ルイが私に頼んだのも優しいからだよね。

私は彼女の本性を掴もうと観察することにした。
病室を出た所がちょうどイスやテーブルが置いてあるスペースがだったからだ。怪しまれず観察出来る。私はそこの隅に座った。
赤ちゃんを抱いた女の人が前を早足で私の前を通った。
後ろには上の子かな？2、3歳の女の子…ゆっくり歩いてあげればいいのにと見ていた。
ジュリアがちょうど病室から出た時に女の子が転んだ
「いた〜い、ママ〜」ジュリアはかがんで女の子を起こして
「大丈夫？」と優しく微笑んだ。服の汚れを払おうとしたら
「触らないで！」母親に手を払われてしまった…
キッとジュリアを睨んでオロオロする女の子の手首を掴んで引っ張って行ってしまった。
ジュリアは払われた手を見つめて唇を噛み締めてた。頭を振って歩いて行った。私は後をついて行った。トイレで顔を洗う彼女…
「あっ…いけない」顔を洗い終わって彼女はつぶやいた。タオルがないんだろう…そう思って私はバックからハンカチを取り出した。
「どうぞ」彼女に差し出した。
「ありがとう・・でも…濡れてしまうし」
「気にしないで…あの・・さっきのあの人…酷いよね。手を払うなんて…」
彼女は手で水滴を払いながら
「当然だから…あのハンカチありがとう…病室に戻ればあるから」
恥ずかしそうに笑ってうつむいて小走りに病室に帰って行った。
眼が赤かったなあ。泣いたんだ。あの母親も彼女の噂話を聞いていたのかもしれない。
彼女は噂話の様な子と違うようだ。彼女の悪口を聞いていい気味と思っていた私もあの母親と一緒だ。
噂話を確かめもせずうのみにしていた・・自分が恥ずかしくなった。