そしてキスからはじまった
空港へ降り立った僕の携帯がなった。
覚えのない番号
「はい」
「ルイさんでしょうか?私は添島コーポレーションで社長秘書をしております田中と申します。
荷物を取ったらタクシー乗り場までいらして下さい。そこでお待ちしておりますので」
僕は分かりましたと答えてタクシー乗り場に向かった。

田中と名乗った人はいかにも仕事が出来る40ぐらいの人で銀縁眼鏡が似合い過ぎて冷たい印象がする人だった。

彼に案内されて紫音のマンションに案内された。
「部屋は紫音さんの隣になります。すぐに暮らせるようになっております。
生活用品なども揃えさせて頂きました。あと、必要な費用はこれをお使い下さい。」
そう言ってカードを渡された。
使えませんと返そうとした僕に
「社長の気持ちですので…」と受け取って貰えなかった。
「紫音さんのことをよろしくお願いします。彼女と一緒なので安心してたんですが…」
「彼女と一緒って…知ってたんですか?」
ふっと笑って
「もちろんです。社長は知りません。私からは報告しておりませんので
紫音さんが紹介すると思っておりましたから
彼女がいなくなってしまって出来ませんでしたが…」
残念そうに言う彼に
「田中さんは彼女とのこと反対しないんですか?」
田中さんは怪訝な顔をして「反対?私がですか?」
ジュリアはいい子だけど世間では軽蔑される経歴「だって彼女は…」
「ダンサーだったということですか?」
「それも有りますが」
「彼女のことは調べました。優しい女性です。紫音さんの運命の人ですから応援してますよ。」
ハハハと笑ってあんなキツネの三上親子は潰してやりましょうと怖い事を言った。
運命なんて似合わない事を言う彼に親しみを感じた。

これから空港へ行くという田中さんに紫音のバイト先であるカフェで降ろしてもらった。
「では私はこれから日本に行きます。店は夜のBARになってます。紫音さんも三上麗美も中にいると思います。
お気をつけてください。」
ハイと僕は軽く頭を下げた。




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