そしてキスからはじまった
私はドアを開けてジュリアに近づいた。

「ジュリア…」そう呼ぶと
にっこり「セシリア」と微笑んでくれる。
私は預かった袋を「コレ…店長から」とジュリアに渡した。
「ありがとう」と言ってジュリアと一緒にジュリアの部屋に行った。
ジュリアの部屋と言っても倉庫を片ずけてベッドと身の回りのものがあるだけ
袋を開けて中の物を取り出した。それはピンクのニット帽にジュリアの髪を縫い付けた物…
帽子を被るとカツラになる…ジュリアの膝に居るサラという子のプレゼント
私と再会したあの日、切った髪で作った物…
『ヘヤードネーションといって病気で髪が抜けた人のカツラを作るのに自分の髪を寄付することなんだけど
そのボランティア団体に作ってもらったの』店長からそう聞いた。
「わぁ!良く出来てる…被ると可愛いだろうなぁ」
早く見たいなあとにこにこしている。
プレゼントに作ったミサンガも見せてもらった。
子供ごとに色を変えて作ったものは良く出来ていた。クリスマスパーティーの時に渡すそうだ。

にこにこ笑うジュリアを見て私は紫音と会ったほうがいい…そう思う
でも悲しむ事になったら…
私は「明後日ね」と病院に来ることだけを告げて別れた




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