そしてキスからはじまった
「待って!」咄嗟に紫音の腕を掴んで大声で呼び止めた

紫音は驚いて振り返って私を見た

「孝は大事な人・・でも好きじゃない」

「好きじゃない?じゃどうして?」

好きじゃないのに一緒に暮らしている・・

軽蔑される?

でも言わないと

「あの人とのことがあって私・・人前で踊ること怖くなりました

でも私には契約があります。二年間ダンサーとして舞台に立つという契約

孝がボスに頼んでくれました。自分と恋人として残りの期間一緒に暮らしたら

契約が終わったということにして欲しいと」

「それって孝が弱っている君につけこんだという事?」


「そんなこと・・孝は自分がボスの言うとおりに跡を次ぐからと

自分の将来を私のために犠牲にしてくれたんです。


それなのに私は・・」

紫音のことが好き・・その言葉は口から出る前に


ピンポーン・・不意の来客によって遮られた



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