そしてキスからはじまった
紫の眼に見つめられてなんかドキドキした

初めてだ。ましてや男に対してなんて・・

それが僕と紫音との出会いだった・・


僕は紫音の隣の席になり紫音に面倒をみてもらうことになった

彼は帰国子女で英語とフランス語が堪能だそうだ。

不真面目だが成績優秀な生徒で男女問わず人気があるそうだ

担任が言うには

「小憎らしいがいいやつだ」という事で僕の面倒をみることになったそうだ

隣の席に座った僕に

「俺は添島紫音・・日本人とフランス人のハーフ。よろしくな。ごめん、さっき寝てて名前聞いてなかった。」

「あっ僕はルイ・リチャードソンです。イギリス人です。よろしくお願いします」

僕たちは英語で話した。

読み書きができない僕に紫音は俺もそうだったからと根気強く平仮名から教えてくれた。

僕はリハビリのために日本に残った身、治ればまた元の生活に戻る・・
そんな気持ちからかあまり覚えられない僕に紫音は優しかった。優しすぎたんだ
僕は彼を好きになってしまった・・

紫音に惹かれながらも所詮僕たちは男同士。

いくら来るものを拒まずの紫音でもノンケだ。

僕だって紫音以外の男には興味はない。

たった数か月の付き合い。離れれば元の女好きに戻るだろうと思っていた

しかし、
僕の予想に反して傷は繊細な部分を傷つけていたようで

傷が完治しても前のように指が動かずピアニストの道は断たれてしまった。

紫音の存在のせいか絶望することなく僕はそれを受け入れた。
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