*お向かい彼氏*
今だってほら。
勝手に不安になって
勝手に泣きそうになってる。
まだまだ弱いんだ、あたし。
いくら外見が大学生に見えても
まだ、中3だもん。
あたし、まだまだ子どもだもん。
部屋のドアを開けると、中では夕飯の準備をしてる旅館の人と莉々達がいた。
「あ、ひかるおかえりー。美味しそうだよ、早く食べよ!」
楽しそうな友達。
その中に混じって、笑顔でお鍋をつついた。
お腹は満たされても、なんだか空洞にスーッと風が通った気がした。
1日が長い。
いつもなら電話してる時間…今日もかかってくるかな?でも光輝遠慮しそう。
ええい、あたしからかけちゃおう…。
「ごめん、あたし電話するね!」
「オッケー。終わったらババ抜き入ってね☆」
「うん、わかったー。」
ープルルルル…
「…あ、光輝?」
「ひかる?電話して平気?」
ふっ…やっぱり。かけないつもりだったのかも。
「大丈夫。京都めちゃくちゃ暑かったよ。」
「熱中症とかならないでな?頼むから。あー…俺が会いに行けない場所にいるのって、結構キツい。」