*お向かい彼氏*







「昔っから気強くて。そんな紗江子が頭下げてるとこなんて初めて見た。」







……昨日の悲痛な八田さんの声を思い出す。





「…どんな想いで下げたんだろって思ったらもう今日あいつの顔見れなくてさ。」




ははっとどこか遠い目をしてる。





あたしが思ってるより


5人の関係は複雑なのかもしれない。










しばらく沈黙が続く。








その沈黙を破ったのはあたし。






「よし、中山さん、スピードしましょ?」




「…は?」







ポカンと呆気に取られてる中山さんはほっといて荷物の中からトランプを取り出す。





「中山さん、八田さんのこと好きなのか知らないけど、今悩んだって仕方ないですよ?光輝も八田さんもまだまだ帰ってこないんだもん!


だから、今は2人で考えないようにしましょ。」







それがいい。




4人が帰ってくるまでまだ5時間以上あるんだもん。







そんな長い時間しんみりしてるなんて耐えらんないもん!!













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