*お向かい彼氏*





学校を出ようとしたとき、グラウンドに土屋くんが見えた。




向こうもあたしに気づくと駆け寄ってくる。





「お前なんで学校いんだよ、帰宅部なのに。」




「ちょっと提出物がね。土屋くんだってもう引退したんじゃないの?」






提出物は嘘じゃない。



前と比較して呆れる先生に夏休みの宿題を全部出してきたし。






「後輩の指導にな!」




「ふぅん、莉々とは上手く行ってる?」





「当たり前だろー。感謝してる。」







そっか、手伝ったんだっけ…。



最近色々ありすぎて忘れてた。





さらに焼けた彼はすごくキラキラしてる。

莉々とはもう会えず終いかなぁ…。







「莉々によろしく。じゃーね」




「おう、大河さんにもよろしくなー!!」









ごめん。それは出来ないけど。






手を振って、再びバス停まで向かった。







幸せそうで、眩しい。





蒸し暑い空気に、一つため息を吐いた。
















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