*お向かい彼氏*









家に帰って、わざわざルーズリーフを取り出す。





レターセットないから、これで許してね。








紙が濡れないように気をつけながら





必死でペンを動かした。














ーーーーー
ーーー
ー…







「じゃあ元気にやりなさいよ。」




「お母さんも働きすぎて倒れないようにね。病院だから心配ないけど。」








これが十年以上暮らした家族のお別れかって思うほどあっさりしてるけど仕方ない。





これがうちだもん。


出来るだけ干渉しないで生きてきたから。









駅に歩いて行く母をみながらタケ兄の車に荷物を乗せる。





「荷物そんな無かったのに。」




「1人でこさせんのも心配だろー。」





「そうかな?…あ、ちょっと待ってて。」







光輝の部屋のカーテンが閉まっているのを確認してから向かいのマンションへむかう。








ーカタン…





大河のポストを探して昨日書いたルーズリーフをいれた。







もしかしたら、光輝はこれから八田さんと付き合うのかもしれない。





八田さんじゃなくても、他の人と付き合う可能性は少なくない。






それでもいいんだ。








…ここで、終わりにするから。















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