*お向かい彼氏*
傍にいる人。
その日から
あたしは毎日巧と一緒にいた。
結局友達は出来なかったけど
学校では巧の幼なじみだという奏太(かなた)くんが傍にいてくれて。
放課後は必ず巧かあたしの家で過ごす。
だから巧の家の人とも仲良くなったし、タケ兄も渋い顔はするものの黙認してくれた。
「ねぇ、ひかるちゃんはさ、外でデートしたいとか思わないの?」
「は?」
「だっていつも家デートじゃん。つまんなくないの?」
パンを頬張りながら問う奏太くん。
空き教室でお昼を食べるのは、教室だと視線がいたいから。
奏太くんも明るくて格好良くて人気者だから、やっぱりあたしは恨まれてるみたいだ。
ていうか…
「あたしと巧、付き合ってないけど?」
「へぇ……はぁぁあ゛!?だってあんなに一緒にいるのに…!!」
…一緒にいるだけだよ。
別にキスも何にもしていない。
話したり、本読んだり、ビデオみたり。
ただ…傍にいるだけの関係。