*お向かい彼氏*
「え…」
「西見の学校説明会。初めてひかるを見て一目惚れして、受験のときだって必死でお前を探して見てた。同じクラスになったときだってすげぇ嬉しくて…。けど全然ひかるの眼に入らないまま、いきなり現れたあいつに持ってかれて…」
え…ちょっと待って?
学校説明会は確かに行ったけど、そのときに巧もいたってこと?
そんな短い時間のこと、ずっと覚えてたの…?
「でもひかるを大切にしてるんなら、お前が幸せなら良いって思ってた。だけどもう我慢しねぇ。」
「巧…。」
「…拒んでいいから」
そう言った巧はゆっくりと顔を傾けながら近づいてくる。
あたしがそらせる時間を作りながら。
でも…
こんなに大きな愛を向けられて
裏切れるわけなかった。
0㎝。
あたし達の唇はしばらく重なって離れる。
「そういう意味で…受け取っていいんだな?」
「…うん」
ごめんね、巧。
あたしに縛ってしまって、ごめんね…。