*お向かい彼氏*







1人の時間。



寝る前だけ、あたしはどうしても光輝のことを考えてしまう。





巧には隠してる




引き出しの奥にしまった、たくさんの写真とホワイトデーに貰ったネックレス。




初デートのときに買ってもらったイルカはベッドに置いてある。






許してほしい…





心の隅に、彼を持ち続けてることを。








こうして



代わりにぬいぐるみを抱きしめることを。










どうしたら巧を好きになれる?








優しいんだ、すごく。





あたしだけを見てくれて、愛してくれて。










気を遣いながら、頬に触れてキスしてくる。









『好きだ…』









光輝より少し荒い言葉づかい。








囁かれる甘い言葉に








あたしは








『ありがとう』








としか返せない。










騙してるみたいで、



罪悪感ばかりが増す日々。











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