*お向かい彼氏*
どんどん険しくなる光輝の表情。
「…桜見に通いたくて頑張って勉強して、今年の春にあの家に戻った。今はね、大学がまた祐希と一緒なの。」
祐希がいて楽しかったのに
今度は光輝まで…
幸せすぎて、なんか恐い。
「ごめんね、嘘ついて。手紙なんかで終わらせて…。…光輝?」
さすがにそんな恐い顔されると困るんだけど…。
どこにそんな反応?
「…ひかるの初めては俺が良かったけど、今更文句は言わない。俺が悪いし…。
でも、家のことはもっと早く話してほしかった。どんなに怒鳴られても貶されてもいいから、逃げないでほしかった…。」
「うん…そうだよね。あたしも後悔してる。」
「これからは、」
そこで言葉を止めた。
なに…?
「これからは、ちゃんと俺に相談して?何があっても、2人で解決しよう。」
……あの頃あたしは全部を1人で抱え込んだ。
誰にも言わずに
何が正解かもわからずに…。
自然と視界が歪む。
「ごめん…、光輝、あたし…」
「いいから、元はといえば俺が悪いんだし…でも、もう離さないから。」
うん…うん…!!
光輝の人差し指があたしの涙を拭う。