*お向かい彼氏*






どんどん険しくなる光輝の表情。





「…桜見に通いたくて頑張って勉強して、今年の春にあの家に戻った。今はね、大学がまた祐希と一緒なの。」





祐希がいて楽しかったのに



今度は光輝まで…





幸せすぎて、なんか恐い。







「ごめんね、嘘ついて。手紙なんかで終わらせて…。…光輝?」





さすがにそんな恐い顔されると困るんだけど…。




どこにそんな反応?






「…ひかるの初めては俺が良かったけど、今更文句は言わない。俺が悪いし…。


でも、家のことはもっと早く話してほしかった。どんなに怒鳴られても貶されてもいいから、逃げないでほしかった…。」







「うん…そうだよね。あたしも後悔してる。」






「これからは、」







そこで言葉を止めた。




なに…?







「これからは、ちゃんと俺に相談して?何があっても、2人で解決しよう。」








……あの頃あたしは全部を1人で抱え込んだ。




誰にも言わずに




何が正解かもわからずに…。








自然と視界が歪む。





「ごめん…、光輝、あたし…」




「いいから、元はといえば俺が悪いんだし…でも、もう離さないから。」







うん…うん…!!




光輝の人差し指があたしの涙を拭う。








< 296 / 331 >

この作品をシェア

pagetop